第3回 さっぽろ腎臓病市民講座
2024年9月14日(土)
札幌市東区民センター
今回も多数の皆様が来場され、講演後のご質問も活発に頂きました。
さっぽろ腎臓病市民講座のご紹介
医療法人 ネフロハス 理事長
さっぽろ腎臓病市民講座 会員代表 向 博也先生
まず、会員代表で医療法人ネフロハスの理事長の 向 博也から、さっぽろ腎臓病市民講座発足の経緯、会員施設、目的についてご紹介いたしました。
詳細は第一回の記事をご覧ください。
腎臓を守るために ~あなたのできること~
勤医協中央病院 内科医長/腎臓浄化センター長 入宇田 智子先生
入宇田先生には、図や表を用いて大変わかりやすく説明して
主な内容は以下のとおりです。
腎臓しくみとはたらき
・一日当たり150Lもの血液を濾過し、老廃物を体外に出すだけでなく、体の水分量の調節、体液成分の調節、赤血球生成や血圧調節に関わるホルモンを分泌する、などの働きがある。
腎機能の見方
・クレアチニンの濃度から計算される推定糸球体濾過量eGFRが代表的な腎機能の数値で、クレアチニンの値とeGFRは反比例する。
慢性腎臓病(CKD)について
・尿、血液、画像検査、病理検査で腎障害がある、GFRが60mL/分/1.73㎡未満、のいずれかまたは両方が
3か月以上続いていることをいいます。特に尿蛋白の存在が重要です。
・尿蛋白が多いほど末期腎不全や心血管病になりやすい。
・CKDのうちゆっくり進行するものは治すことは難しいが進行を遅くして透析導入を避ける、遅らせることは可能。それが心血管疾患の予防にもつながる。
・CKDは末期になるとむくみ、尿量の変化、息切れ、食欲不振、嘔気、意識障害などが現れるが、それまでは
無症状のことが多い。
・蛋白尿と血尿の両方が陽性、尿蛋白が0.5g/日以上か1+以上、GFRが45未満なら腎臓専門医を受診しましょ
う。
・治療は食事療法(減塩、蛋白制限、適正なエネルギー摂取)、薬物療法(元々の病気の治療、血圧管理、電解質
管理、貧血管理など)を行い、感染、脱水、腎障害をきたしうる薬剤(解熱鎮痛剤、造影剤など)を避ける、禁煙、口腔ケア、脱水・便秘・肥満の予防、適度な運動と睡眠、ワクチン接種、家庭血圧測定が必要。
血圧は140/90未満を目指すが、糖尿病やタンパク尿がある場合は130/80未満を目指す。
減塩のコツ
・選ぶとき:加工食品、外食、弁当は塩分量を確かめる。減塩調味料を利用する。
・作るとき:塩の代わりにだしや酸味を使う。汁物は具沢山にする。香辛料を使う。
・食べるとき:料理の味をみてから調味料を考える。「かける」より「つける」。麺類の汁は飲み干さない。